第1章 改正社会福祉法の概要3 社会福祉法人の制度は、昭和26年3月に成立した社会福祉事業法により社会福祉事業を行う新たな事業主体とするため、旧民法34条の財団法人の特別法人として創設されました。 この社会福祉事業法により社会福祉事業の範囲が明確化されるとともに、入所施設などの利用者の処遇に重要な監督を要する第一種社会福祉事業については、国又は地方公共団体以外は、原則として社会福祉法人でしかその経営ができないものとされました。 このような公益性によって、社会福祉法人への施設整備又は運営への公的助成が拡充され、いわゆる措置制度の中心的な実施主体として、社会福祉法人が戦後の社会福祉政策の重要な一翼を担うようになりました。 さらに、近年の福祉ニーズの多様化や介護保険制度の創設に伴い、平成12年6月に「社会福祉事業法」から「社会福祉法」への改正が行われ、社会福祉法人の役割の重要性は増すことになりました。 しかし、法人役員等の機関などの社会福祉法人制度自体には重要な改正はなく、今般の制度改革に至っています。(2)制度の問題点と改正の経過 社会福祉法人の制度は、その設立については認可主義を採用しており、その経営についても行政機関(所轄庁)の指導監督を受けていますが、近年の社会情勢の変化に伴い次のような問題が指摘されていました。① ガバナンス(法人統治)の問題 社会福祉法人の理事、監事等の役員やこれらの者の権限、責任及び法人の運営等については、実質的に平成20年12月施行前の旧民法における財団法人に関する規定が準用されています。 このため、社会福祉法上は役員の選任、権限や責任が明確ではなく、またこれを監Ⅰ 制度改革の経緯と改正のポイント■ 制度改革の経緯(1)社会福祉法人制度
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