(2)指定家督相続人 指定家督相続人とは、第一種法定推定家督相続人がいない場合で、戸主の死亡又は隠居による家督相続に限って、旧戸主(被相続人)が生前の届出又は遺言によって指定した者をいいます。家の継続を第一義としているため、血縁のない者でも指定できるとされていました。(3)選定家督相続人 選定家督相続人とは、第一種法定推定家督相続人も指定家督相続人もいない場合に、被相続人の父又は母もしくは親族会が選定した相続人であり、家族の中から選定した場合を第一種選定家督相続人といい、家族以外の者から選定した場合を第二種選定家督相続人といいました。 選定家督相続人は、家督相続原因のいかんを問わず、家督相続開始後において選定されるものです。選定者は第1に父、第2に母、第3に親族会とされ、父母は家督相続開始時に家族であることが必要で、父母には養父母、継父母、嫡母も含まれていました。養家に養母と実母がいる場合には養母に選定権があり、家に実母と養父がある場合には実母に選定権があるものとされ、その家に縁故関係の深い者が先順位の選定者とされていました。入夫婚姻による家督相続においては入夫が家督相続人となるので順位に問題は生じません。ところが、入夫の離婚による家督相続の場合の家督相続人は法定の順位により定められており、戸主の地位が自動的に旧戸主である女戸主に戻るのではなく、新たな家督相続が開始するとされていました。この場合、入夫である戸主の家督相続人が相続することになるため、場合によってはその家とつながりのない者が家督相続人となることもあったのです。②指定家督相続人 ⇒ 被相続人(旧戸主)により指定された者③選定家督相続人 ⇒ 旧戸主の父、母や親族会により選定された者【家督相続人の種類】①法定家督相続人 ⇒ 旧戸主と同じ家に属する者の中から、法定の順で決められた上位の者第1章相続法の歴史と現況■■
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