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いただけると思います。昨今は、分かりやすさを標榜するいわゆる「会計本」が多く発刊され、一種の出版ブームの様相を呈していますが、それらの図書の多くは、会計の技術的側面のみを取り上げて書かれており、これに対して本書は、プロの職業会計人の眼で、複式簿記や記帳・決算の歴史を検証しつつ会計の本質と職業会計人の使命とに迫り、そのあるべき姿を企業経営の現場を踏まえて論じている点で、それらの会計ノウハウ本とは、まったく異なる立脚点を持っています。なかでも、会計基準のグローバルスタンダード化は主に公開企業に向けられており、中小零細企業はその対象ではないこと、むしろ日本の税理士による中小企業の決算書は、世界的に極めて高いレベルにあり、その理由は税法と会計とが連動したわが国特有の「確定決算主義」にあり、この「確定決算主義」を今後も堅持すべきことを提唱されている点は、まさに傾聴に値する点だと思われます。また「会計で会社を強くする」ためには、これを支援する職業会計人の存在が不可欠であるとの指摘も本書の核となる見解と言えるでしょう。本書が中小企業経営者、経理担当者など会計に関わるすべての方々、また職業会計人やこれから会計人の道を目指す方々に長く愛読されることを心から願っています。株式会社TKC 代表取締役会長 飯塚真玄   4

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