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1「決算」は経営者自身のために昭和五十六年、私は二十五歳で会計事務所を開業しました。世間のことをまだ何も知らない若輩者でしたが、「会計で中小企業の経営に貢献したい」という夢と理想に燃えて出発したのです。しかし、現実は夢や理想とは程遠いものでした。開業後、五年間ほどは「帳簿づけができない中小企業を支援するのも会計事務所の大切な仕事なのだ」と考えて、お客様の領収書の整理や会計伝票の作成代行作業に明け暮れていました。それこそ朝から夜中まで、土日もないような忙しさでした。こうした仕事内容については、周りの多くの会計事務所もそうでしたから、別段、何の疑問も抱きませんでした。ところが、次第に多くの問題が生じてきたのです。例えば、帳簿整理に追いまくられて手会計の仕事に対する根本的な疑問     第1章 基礎編25

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