ば︑領民を安んずることができる︑そのためには︑国力を高めることが先決だと主張したのです︒これは︑資金繰りに窮した経営者が︑﹁金があれば従業員の給料も上げられるのに・・・﹂と愚痴っていることと同じです︒尊徳は︑個人の独立無くして︑国の安定はありえないことを説いているのです︒まずは︑領民を安んずることが先決であるということです︒﹃大學﹄でも﹁修身斉家治国平天下﹂と説き︑天下を平らかとなすには︑まず︑自らの身を修めるべきだ︑としています︒また︑慶応義塾創立者の福沢諭吉も︑個人の独立無くして一国の独立はあり得ないとしています︒次に︑﹁豊凶十年を平均して分度を定める﹂とは︑どのような篤農家であっても何年か何十年かに一度の自然災害や天変地異は避けられない︒ある意味ではそれさえも嘆くことなく受け入れて︑豊作のときにはその備えとして余分に残しておくことを説いているのです︒これは農業を例にしておりますが︑現代の企業においても全く同様です︒この不況下でも︑好況時に不況に備えて内部留保を厚くし︑借入金の返済を進めていった企業は︑まだ22
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