ことではありません︒・・・この借財・衰貧は何によって起こったのでし■うか︒それは︑﹁現在租税の過半は借財の利払いのために費え︑藩中を扶助することができません︒・・・借財減少の方法がついたならば︑国民を哀れみ恵むことも必ずそこから生ずるはずです︒﹂﹁・・・国本たる人民の艱か苦くを後回しにし︑その末たる藩内の憂いを除くことを先にしておる︑このように本末先後の道を失いながら国家を再興させようと望んでも︑到底できる国家の分度が明らかでなく︑入るを計って出ずるを制する道がなく︑国用が足らなければよそから金を借りて一時の不足を補い︑少しも後難を考慮しなかったため︑ついにこのような貧困に至ったのではありませんか︒・・・過去十年の租税を調べ︑豊凶十年を平均してその平均額にあたる数が︑すなわち︑天分として動かすべからざる分度です︒﹂︵強調著者︶尊徳は︑﹃大學﹄︵四書五経の一つ︶の本末論︑終始論(iii)をもとに︑結果のみを求めようとして原因をおろそかにしている同藩の家老を諭しています︒家老は富国安民を目指し︑尊徳は安民富国を目指したのでした︒家老は︑まず国が富めん第1章 現代の中小企業経営者に不可欠なのは「哲学」と「戦略」だ!21
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