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第3版の刊行に当たって 「会計で会社を強くする」(Making companies stronger through accounting)は私の職業人生を貫く信念であり、確信です。 第3版では、従来の金言に加えて、新たにジョン・ロック(イギリス)、ダニエル・デフォー(イギリス)、アーサー・ハロルド・ウルフ(イギリス)、ヨハン・フリードリッヒ・シェアー(スイス/ドイツ)、上野道輔教授(日本)による金言を取り上げるとともに、従来の記述に若干の補正、追加を施しました。 IT、DX、AI、生成AI等のテクノロジーの急速な進展は、簿記・会計業務の領域に大きな影響を及ぼしています。近い将来、個人事業レベルでは、簿記・会計業務に関する知識がなくても、「帳簿ら4444444444444、ほぼ自動的にでき上がる時4444」が、形式的ではあるもののしきもの代が到来する可能性もあります。巷には「簿記や会計知識がなくても経理業務はできる」などとして「簿記・会計」を軽んじる風潮も見られます。かつて、大学の経営学部・商学部では会計専攻が最高の人気を誇っていましたが、近年は情報系(情報、経営情報)に移ってしまいました。また、大学入学共通テストにおいて、「簿記・会計」の科目が2024年を最後になくなり、新たにプログラミングを含む「情報」が受験科目に採用されることになりました。 筆者は、こうした状況を招いた要因の1つに、「簿記・会計」に対する国民的な誤解がある、と考えています。それは、近い将来、ITやDX等が「簿記・会計」に取って代わる存在になり、「簿記・会計」に関する知識は不要となる、という思考です。しかし、ITやDX等はテクノロジー(科学技術)であり、手段です。他方、「簿記・会計」の中核は知的体系(知見=ゾンバルト)です。知的体系をテクノロジー(手段)で代替することは不可能です。テクノロジーはあくまで知的体系を支える強力な手段に過ぎません。 確かに、テクノロジーの進展にともない、「簿記・会計」の形式的・技術的な領域、例えば「経理事務」はますます自動化されていくで

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