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「商事王令」の内容 ─ 破産時に「正規の帳簿」が提示できなければ死刑 ─ 「商事王令」の正式な名称は、「商人の商業のための規則として役立つフランス及びナヴァルの王ルイ14世の王令」(Ordonnance de Louis XIV. ROY DE FRANCE ET DE NAVARRE、Servant de Règlement pour le Commerce des Marchands)という長い名前です。 サヴァリー法典が会計史上画期的なものとして扱われるのは、商業帳簿及び財産目録の規定が、近代国家の法令のなかに置かれたこ 国家的規模の商法が最初に法典化されたのは1673年の「ルイ14世商事王令」です。ルイ14世は「太陽王」(Roi-Soleil)ともいわれます。当時のフランスは、産業も不振で、加えて破産、とりわけ詐欺破産、財産隠匿といった不正が横行していたので、法律をもって信用制度を回復し、民力を強化することが急務とされていました。そこで、財政の立て直しを図ったのがコルベールです。彼の財政政策を「コルベール主義」といい、「重商主義」の典型とされました。 コルベールは商法整備にも着手しました。経済の衰退に伴う企業の破産、これに加えて、財産の隠匿、持出し、詐欺破産といった不正に対し、法律の干渉が決意され、それによって、信用制度の回復、経済秩序の維持が図られたのです。この王令は、このような状況下にある企業に、指針を与え、不正とりわけ詐欺破産を防止し、これを厳しく取り締まることによって、企業をそれから守ることを目的としました。またそれは商事裁判制度を確立するものでもありました*1。この法典の整備に参加したのが商業に精通するジャック・サヴァリーであり、その実績から同法典は「サヴァリー法典」と呼ばれます。 サヴァリーの『完全な商人』はルイ14世商事王令のコメンタールであるとともに商業実務の解説本でもありました。会計で会社を強くする 簿記・会計先覚者の 金言集・解説215解説

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