i3年間にわたったコロナ禍が人々の考え方を変え国際的な経済構造の転換を加速させた一方、ウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化などにより世界が分断され混沌としています。こうした国際社会の情勢下において、政府は長年続いたデフレ脱却・構造転換を最優先課題とし、これらに対応する税制面での取組みに加えて、人口減少、経済のグローバル化など、ステージ毎の問題解決を具現化することを目指し、令和6年度税制改正が行われました。まず、所得税・住民税の定額減税により、納税者(合計所得金額1,805万円超、給与収入のみの場合2,000万円超の高額所得者は対象外)および控除対象配偶者、扶養親族一人につき、令和6年分の所得税3万円、住民税1万円の減税が行われ、令和6年6月以降の源泉徴収等から速やかに実施されます。次に、賃金上昇の動きをより多くの国民に拡げて効果を深めるために、雇用者給与等支給額増加税額控除制度、いわゆる賃上げ税制が改正されました。改正の内容としては、中堅企業枠が創設され、さらに女性活躍推進・子育て支援の取組みに対して税額控除率が引き上げられています。中堅企業への成長を後押しする税制も組み合わせることにより、賃金が物価を上回る構造を実現し、国民がデフレ脱却のメリットを実感できる環境を作ろうとしています。また、世界の構造変化に対応するために、戦略分野国内生産促進税制やイノベーションボックス税制を創設し、企業や個人が能力を発揮できる社会の実現を目指すとともに、スタートアップ・エコシステムやストックオプション税制の年間行使額の上限引上げ、中小企業事業再編投資損失準備金制度の大幅拡充など、ステージ毎に税制上の支援措置を講じています。加えて、次元の異なる少子化対策として、税制においても児童手当と扶養控除を合わせて、全ての子育て世帯に対する実質的な支援が拡充されます。なお、国際課税制度の見直しに係る国際合意に沿って、企業間の公平な競争環境の整備に資するグローバル・ミニマム課税について順次法制化が進められます。さらに地方税においても税制の安はじめに
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