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人から署名を頂くことです。相続税申告の受任から申告完了までの間に財産目録、土地・非上場株式等の評価、各種特例選択、遺産分割協議書などの説明と報告や単純な書類の授受などで少なくとも10回、多ければ20回近く訪問、もしくは来所いただいて面談することになります。その都度、「訪問記録簿」(図1-1-3)を作成し、面談内容を記録し依頼者から署名を頂くことによって、相互の信頼関係の醸成と責任範囲の明確化による法的防衛も可能となります。 「訪問記録簿」は複写の場合には2枚複写とし、1枚は相手にお渡しし、1枚は事務所内に案件ごとに時系列で保管します。複写でない場合には、押印を頂いたPDFをメール送付したり、スマートフォンで写真を撮り原本をお渡ししたりするなど、ITツールを駆使して共有する方法もあります。 相続税の税務調査は、申告してから1年以上経過した後に実施されます。税務調査の結果、修正申告に至った場合、お客さまとの間で修正申告の原因と責任について問題を発生させないためにも、「完全性宣言書」(図1-1-4)、様々な確認書及び添付書面の作成・署名押印は重要です。 これらは、税理士として責任の限界を明確にするための手続きでもあります。当然のことながら、提出されなかった資料や開示されなかった事実が明らかになったことにより、修正申告になることも考えられます。「完全性宣言書」は相続人全員が、税理士に対し「法が求める真正の事実を踏まえた内容であるべきことを深く認識し、相続開始日における被相続人の所有に係る全ての財産及び債務(葬式費用を含む)並びに相続開始前の生前贈与、その他相続税申告に影響を及ぼす一切の問題について、私たちが知る限りの真実を報告し提示したことを宣言」し、「税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面の内容を確認」し、「仮装隠蔽の事実及び許されない租税回避行為を行った事実がないことを宣言」して相続人全員が署名押印するものです。109.完全性宣言書

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