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(3)約定書と料金表の提示 令和4年12月に公表された国税庁の令和3事務年度の報道発表資料によると、相続税の実地調査件数は6,317件、令和3年分の相続税の申告書の提出に係る被相続人数は134,275人となっています。 相続税に関しては税務調査率が高いように見えますが(相続税の税務調査と書面添付の関係は、第4章第2節を参照)、本書で示すようにしっかりとした相続人との意思疎通と調査、確認を行い、その過程と内容を書面化して書面添付をした場合には、超大口案件を除いてほとんどが調査対象となっていないという事実があります。税理士への意見聴取において単純ミスに気付いた場合でも、実地調査が行われないことが多いのが実情です。そのようなことを相続人によく説明した上で、相続税申告の料金表とともに「相続税申告業務の委任に関する約定書」(図1-1-1)を提示します。 「相続税申告業務の委任に関する約定書」は、税理士と相続人全員とが「財産及び債務(葬式費用を含む)並びに相続開始前の生前贈与、その他相続税申告に影響を及ぼす一切の問題を、完全網羅的に、真実を整然明瞭に提示すること、また、これらに関する税理士の質問に対して忌憚なくその実態を開示すること」及び「提出された資料を基に、相当の注意(税理士法第45条第2項)を以って法の許す限りの税額軽減策を図ると同時に、豊かな見識と経験を駆使して、将来構想も視野に入れ適正なる相続税申告書を作成すること」を約定するものです。 この時点で約定書に署名押印を頂くことができれば、次からの手続きは非常にスムーズに進むことになります。最初の面談で相続人全員と面会できることはまれです。相続人の代表者にお渡しして全員の方の署名押印を頂けることもあれば、再度全員とお会いした上で最初からお話を圧を感じない方もおられます。しかし、相続税の場合には、税務申告自体が初めてで、税務調査を受けた経験のない方も多く、相続税の税務調査があると聞いただけで寝込んでしまう方すらいます。このような方には、法律に従って1円も多くなく少なくもなく、適正に申告をすれば決して怖くないことを丁寧にお話しします。6

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