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告を遂行することが義務付けられています。  被相続人の財産・債務について、相続人の誰も知らない事実が、申告書作成の書類や金融機関における調査の過程で出てくることがあります。しかし、あらゆる資料や、金融機関をはじめとするあらゆる機関の調査をしても、言い換えると、税理士として可能な限り相当注意義務を果たしても見つからない財産があるということもあり得ます。このような場合には、税理士としての責任を果たしているといえます。 被相続人及び相続人と税理士との過去からの関与状況のいかんにかかわらず、相続税申告において税理士の使命と責任を全うする上でまず求められるのが、依頼者である相続人たちとの意思疎通を十分に行うことによる信頼関係の構築です。通常、税理士が依頼されるのは、関与先等を除くと四十九日が過ぎてからですが、相続開始から既にひと月半が経過しており、残された期間は8か月強しかありません。このわずかな間に信頼関係をしっかり構築する必要があります。 相続税申告の依頼があった場合、信頼関係構築のスタートは、最初にご自宅に訪問した際のご霊前でのお参りでしょう。また、従来からの関与先である場合には、被相続人の通夜又は告別式への出席は必須です。 特に、関与先関係者以外の相続税申告の依頼を受けた場合は、最低でも毎月1回は訪問し、できれば相続人全員とお会いして、進捗状況の報告や検討事項の共有、説明など、懇切丁寧に対応し信頼関係を構築していくことが重要になります。 4第1章相続税申告の考え方とスケジュール4.相続税申告における税理士の責任  ──相当の注意をもって真正の事実に基づいて申告書を作成5.信頼関係の構築が重要!  ──徹底した会話によって意思疎通を図る

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