第1節ポイント相続税の申告は、相続人やその他の親族の名義財産も含めて、被相続人の全財産・債務を短期間で把握しなければなりません。適正な申告を実現するには、相続人等との信頼関係構築による意思疎通が重要となります。 月次巡回監査※の対象関与先の所得税・法人税の申告においては、日常の取引が会計帳簿に詳細に記録されています。また、その取引の原始帳票についても、取引の順序に従って保存され、会計帳簿と証憑書番号で確認できるよう保存・管理されています。月次巡回監査において、もし会計処理の間違いがあれば、巡回監査支援システムを通して、関与先において修正していただき、その場で即答できない疑問点については、事務所に持ち帰り、内容をしっかり確認した後、巡回監査担当者より正しい会計処理と税務処理を回答し、関与先において正しく処理していただきます。 しかし、個人の財産については、日常の金銭や預貯金の動きが継続して家計簿などに残されている例はまれです。巡回監査を実施している関与先であっても、事業主や法人の代表者、もしくは元代表者等の個人財産まで顧問税理士が把握していることはまずありません。ゆえに、相続税申告に当たっては、被相続人の相続開始日における財産及び債務について、依頼を受けて契約をした段階から調査を始めることになります。【解説】21.所得税・法人税申告と相続税申告の違い相続税申告の考え方と取組み方
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