ivわが国の税理士の独立性 わが国の税理士に要求される独立性(税理士法第1条)と、公認会計士に要求される独立性には相違がある。つまり、税理士の場合には、外観的独立性はさして問題ではなく、事実としての独立性(精神的独立性)がはるかに重大である*4。昭和26年に制定された税理士法の第1条は、「税理士は、中正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務を適正に実現し、納税に関する道義を高めるように努力しなければならない」とされていた。それが昭和55年の税理士法改正において、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」(税理士法第1条)と変更された。 飯塚毅博士はこの税理士法改正において、関係者への提言活動を通じて多大な影響を与えた。昭和50年代初頭は、税理士の使命を「納税者の権利擁護」とする有力な意見もあったが、飯塚博士は、「租税正義の実現」という高邁な理想実現のため、税理士は納税者側と税務当局側のどちらにも阿おもねらずに、独立性を堅持する職業専門家として租税法律主義を貫徹すべきとの立場から粘り強い法改正運動を展開した結果、「独立した公正な立場」の文言が税理士法第1条に採用された──という経緯がある。 わが国においては、独立性・公正性を堅持した税理士が、租税法律主義を貫徹し、租税法を守り切って適正申告を支援することによって、税務申告書の信頼性(reliability)が確保され、さらに、確定決算主義(法人税法第22条、同第74条、損金経理要件)という法的構造によって、間接的ではあるが、その基となった決算書の信頼性も高まる仕組みとなっている。先述したレヴィットの言葉を借りれば、「税理士は、租税正義の守護者(ZEIRISHIs are the guardians of tax justice)」としての役割を担うということである。本書の構成 本書は、アメリカ公認会計士の独立性概念に関して、第Ⅰ部「独立性概念の生成」、第Ⅱ部「独立性概念の展開」、第Ⅲ部「独立性概念の現状」に分けて考察を加えている。 第Ⅰ部では、会計士業界の黎明期にあたる19世紀から1960年代までを対象とし、各種会計士団体の発足と発展およびアメリカ公認会計士協会(AICPA)への
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