6また1913年には下院歳入委員会のコンサルタントになり、議会が連邦所得税法制定の細部を審議する間に、会計士業界の先頭に立って法の枠組み作りに尽力した。著書にはDicksee/Montgomery(1905)やMontgomery(1912)などがある。 独立監査(independent audits)を行う、会計を分類し修正する、あるいは企業問題の調査に従事する会計士は、自身の仕事の結果が適切かつ恐怖心を持たずに提示されるために、疑う余地のない廉潔性(unquestioned integrity)、重要性の察知、および責任の機密性、……そして、決意の強さを資質として持っているべきである。 *原文は「independent」が斜体になって強調されている。askinsとEイライジャ このように彼らは、独立監査や会計業務を行う公共会計士に対して、「廉潔性(integrity)」、「疑う余地のない廉潔性(unquestioned integrity)」の保持を強調したのである。とりわけ、1895年時点ですでに「independent audits」という表現が用いられていることが注目される。 なお、アメリカにおける会計士の黎明期から20世紀初頭にかけて、会計士業界は、監査人の資格を、主にintegrityという表現を用いて定義づけている。わが国の監査論ではintegrityを「誠実性」と訳すのが通説であるが、誠実性という表現では、独立性概念の中核であるintegrityの厳格なニュアンスが薄れてしまうため、本研究では「廉潔性」という訳を用いる(なお、第4章第4節1も参照されたい)。(4)会計士の特性として強調された廉潔性(integrity) 1894年、IAの新会長であるFフレデリックrederick W. Cチャイルドhildは、業務上の会議での「就任挨拶」で、「本協会の紋章に刻まれている『知識、経験および廉潔性(Knowledge, Experience and Integrity)』という言葉が、成功する会計士にとって最も必要な3つの資格を表しています」と述べた23。 askins & Sセルズells会計事務所のパートナーである さらに、アメリカ生まれのHハスキンズlijah Wワットatt Sセルズellsによって1895年頃に書かれた案内Cチャールズharles Wウォルドーaldo Hハスキンズ用小冊子(brochure)には、公共会計士に要求されるものとして、以下の説明が記載されていた24。
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