「新たに法人を設立するとき、どの法人格を選択すればよいのでしょうか?」最近、このような質問をよくいただきます。法人を設立する際には、株式会社、合同会社などの営利法人に加え、特定非営利活動法人(NPO法人)、一般社団法人・公益社団法人、一般財団法人・公益財団法人といった非営利法人も選択肢の一つになり得ます。本書でも紹介していますが、昨今、NPO法人、一般社団法人、一般財団法人が年々増えています。また、公益性の高い事業を行う公益社団法人、公益財団法人に移行する一般社団法人、一般財団法人も一定数存在します。このように非営利法人を選択する事例が増えている背景には、法人設立時に、事業内容、資金の支援、意思決定の方法、課税関係を比較すると、営利法人よりも非営利法人のほうがふさわしい、またはメリットを享受できるケースがあるからにほかなりません。本書では、営利法人と非営利法人との差異をさまざまな視点から論じ、NPO法人、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人の運営・会計・税務について解説します。具体的には、各章で次のとおり解説しています。第1章「非営利法人の歴史」では、営利法人と非営利法人との違いや、非営利法人の歴史、非営利法人はなぜ必要なのかについて解説します。各論として、共益活動と公益活動の違いや、社団法人と財団法人の違いなども論じています。第2章「NPO法人の運営・会計・税務」では、NPO法人の特徴や存続要件をはじめ、その設立方法についても説明します。また、法人運営においては、毎事業年度所轄庁に提出する書類や定款変更について述べ、認定NPO法人の制度についても解説しています。第3章「一般社団法人・一般財団法人の運営・会計・税務」では、一般社団法人・一般財団法人を設立する方法をはじめ、法人税法上の取り扱いである非営利型法人・普通法人について解説します。また、法人運営についても、理事会・総会・評議員会の開催方法から情報公開まで詳細に紹介しています。第4章「公益社団法人・公益財団法人の運営・会計・税務」では、一般社団法人・一般財団法人が公益社団法人・公益財団法人に移行するための手続きを解説します。移行するための要件である公益認定基準(特に、収支相償・公益目的事業比率・はじめに
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